本研究の目的は, DNA酸化傷害測定法として, 紫外線照射を用いた小核試験法を確立すること, さらに本法が栄養学的研究に応用できるか否かを検討することを目的とした。WIL2-NS細胞を用いて紫外線照射時の小核出現率を求め, DNA酸化傷害の指標として用いた。その結果, UVA420 μW/cm2では小核の有意な増加は認められず, 一方UVB300 μW/cm2では0-5秒間で照射時間依存的に小核が増加した。さらに, ヒトリンパ球を用いた試験でも同様の結果が得られた。以上の結果から, UVB照射は, 小核試験法への応用が可能であることが示唆された。また, 女子高校生における血中β-カロテン濃度と紫外線照射法によって得られた小核出現率の間には有意な負の相関関係が認められた ( r =−0.443, p <0.05) 。したがって, UVB照射によって増幅させた酸化傷害はβ-カロテンなどの抗酸化栄養素の評価に応用できることが示唆された。