妊娠・授乳期ラットのラード添加飼料 (LD) と魚油添加飼料 (FD) の摂取が, 仔ラットの胃内容物の組成と血漿および脳の脂肪酸組成に及ぼす影響を調べた。妊娠ラットを2群に分け, LDとFDで実験期間を通して飼育した。生後9, 17, 23, 29, 35日後に, 1匹の母親から2匹ずつ仔ラットを取り出して解剖し, 血液, 胃, 脳を採取した。仔ラット胃内容物のたんぱく質エネルギー比率 (P比) と脂質エネルギー比率 (F比) は9日齢では高かったが23日齢以降低下し, 炭水化物エネルギー比率 (C比) は9日齢では低かったが23日齢以降急増した。仔ラット胃内容物のPFC比は, 実験期間を通して両群間で有意な差はみられなかった。9日齢仔ラットの胃内容物のn-3系脂肪酸はFD群がLD群の20倍高かったが, 血漿では両群の差異は6倍となり, 脳では両群間に有意な差はみられなくなった。脳のn-3系脂肪酸は, FD群では23と35日齢に増加してLD群より高くなった。n-6系脂肪酸はLD群がFD群よりも高かった。LD群の脳のドコサペンタエン酸はFD群よりも高かった。本研究から, 妊娠・授乳期のFD摂取により仔ラットに多量のn-3系PUFAが移行し, 仔ラットの脳の脂肪酸組成に影響を与えることが示唆された。