糖質米のあゆのひかりは, 難消化性構造を持ち, 他の品種米よりも消化され難い。本研究では, あゆのひかりのヒトにおける食後血糖値およびインスリン分泌に及ぼす影響について検討することを目的として, 普及米であるコシヒカリと比較した。健常成人男性8名 (平均年齢: 39.0±1.7歳, body mass index (BMI) : 23.3±0.6 kg/m2, 空腹時血糖値: 96.4±2.1 mg/dL) を対象に, 無作為化単盲検交叉比較試験を実施した。糖質として55 gを含むあゆのひかりまたはコシヒカリの炊飯米を摂取し, 240分までの血糖値とインスリン濃度を観察した。あゆのひかり摂取時の240分までの血糖IAUC (incremental area under the curve of blood glucose concentration) は, コシヒカリ摂取時に対し17.5%低い傾向を示した ( p =0.07) 。また240分までのインスリンIAUCでは, コシヒカリ摂取時に対し41.3%低い値を示した ( p <0.01) 。以上の結果より, あゆのひかりは, 糖尿病の一次予防として有用な米品種であることが示唆された。