コーヒー飲用によるストレス緩和作用についてはよく知られているが, その揮発性成分の効用に着目した研究は数少ない。本研究では, 焙煎したコーヒー豆の揮発性成分とストレスとの関連性を明らかにするために, マウスを用いて種々の行動薬理学的実験を行い, コーヒー揮発性成分のストレス緩和作用について検討した。高架式十字迷路試験において, コーヒー揮発性成分は自発運動量に影響を及ぼすことなく, オープンアームへの滞在時間および進入回数を増加させた。また, ペントバルビタールによる睡眠時間は, コーヒー揮発性成分の曝露により明らかに延長した。オープンフィールド試験および強制水泳試験では, コーヒー揮発性成分の効果は見られなかった。以上より, 焙煎したコーヒー豆の揮発性成分はマウスの覚醒水準を低下させ, 抗不安様のストレス緩和作用を発揮することが示唆された。