我々は,消化管内で作用する様々な疾病予防成分について研究を行ってきた。その中で本稿では,レジスタントプロテインの疾病予防作用,およびビタミンB6の大腸がん予防作用について紹介する。(1)我々は,そばタンパク質の血中コレステロール低下作用にそのタンパク質の難消化性が関与することを示し,新概念“レジスタントプロテイン”を提唱した。レジスタントプロテインとして絹タンパク質セリシンをモデルとしてこの着想を検証し,さらにレジスタントプロテイン高含有の酒粕難消化素材の開発に成功した。(2)次に,ビタミンB6のマウス大腸における強力な抗腫瘍作用を見出し,その機構解析を行った。なお,ビタミンB6の抗腫瘍作用は他の臓器のがんと比べて大腸においてより顕著である証拠が増えている。このように,ビタミンB6は大腸がんを予防する食餌因子と考えられる。