糖尿病患者が適正体重を保つ食事量に加え,血糖値を上げやすい食品・料理を認識していることも重要だが,この点に関する既報は乏しい。そこで糖尿病患者に血糖値を上げやすい栄養素・食品・料理の認識に関する調査を行い,カテゴリカル主成分分析(CATPCA)により解析した。栄養素として炭水化物が血糖値を上げやすいと答えた224名中136名(61%)(C認識良好群)は,食品・料理レベルでも,高炭水化物のものを正しく選択していたが,炭水化物以外を回答した群(C認識不良群)は,血糖値を上げるものとして,高脂質の食品・料理を高頻度で選んでいた。CATPCAで得られた「高炭水化物食品」因子と「高炭水化物料理」因子は,C認識良好群では有意の相関を示した。しかし,C認識不良群では相関せず,栄養素レベルの判断が誤っているのみならず,食品・料理レベルの認識においてもずれが生じており,栄養指導の際に留意すべきと考えられた。