キュウリに含まれるギ酸の分布および味覚特性を明らかにするため, まず, HPLC法による分析法とキュウリ試料調製法について検討を行った。設定したHPLC分析法のギ酸定量限界は0.5 mg/Lであり, 再現性も良好であった。キュウリは, 果皮, 維管束, 果肉および種子, それぞれの部位に分け, HPLC分析試料を調製した。HPLC分析の結果, ギ酸は果肉と種子では検出されず, 果皮と維管束に局在することが示された。ギ酸標準水溶液の味覚特性を調べた結果, 低濃度 (<10 mg/L) では渋味を感じ, 濃度が高くなるに伴って渋味とともに苦味と酸味も強くなった。キュウリの渋味とギ酸濃度との関係については, 特に果皮を食したときに感じられる渋味は, ギ酸によるものと推察された。さらに, ギ酸を各種濃度に調整したキュウリの官能結果からも, ギ酸がキュウリの渋味の主な要因であることが示唆された。