煮熟乾燥オキアミの変色に及ぼすpHと金属イオンについて検討した。さらに煮熟乾燥オキアミを用い茂田井らの方法に準じて煮熟乾燥オキアミ水可溶性変色物質を調製し, その性状について検討した。 1) 各pH域での変色度ならびにFe2+, Cu2+ (いずれも100~300ppm) を添加した場合の経時的変色度, POV, TBA値を測定した結果, 各pH域における差は認められなかった。また, Cu2+, 100ppmを添加した非揮発性窒素化合物の変色度ならびにPOV, TBA値を測定した結果, 各pH域における差は認められなかった。しかし, Fe2+, 100ppmを添加した非揮発性窒素化合物の変色度ならびにPOV, TBA値が増加することからCu2+よりもFe2+に強い変色促進作用のあることが認められた。 2) 茂田井, 梶本らの方法に準じて, 煮熟乾燥オキアミより水可溶性の変色物質を調製した。さらに茂田井らの方法によりオキアミ変色物質を分画して得られたP-1, P-2, P-3, P-4画分の紫外線吸収スペクトル, 赤外線吸収スペクトルならびにケイ光強度を測定した。その結果, オキアミ変色物質中にはメラノイジソ様物質の存在することが示唆された。