トリグリセリド2位結合パルミチン酸含量の高いラードを主体とした配合脂肪Aとステアリン酸, パルミチン酸の含量を下げ, ラウリン酸を高くした配合脂肪Bの脂肪の出納比較および脂肪とミネラル出納との関連性について幼若ラットを用いて検討した。 1) 総脂肪の出納結果は両群とも良好で差を認めなかった。 2) 各脂肪酸については脂肪酸の炭素数, 2重結合の数によって差があり, 炭素数が短いほど, 2重結合の数が多いほど吸収性はよい傾向が認められた。 3) 吸収性の悪い長鎖飽和脂肪酸のうち, とくにステアリン酸はその量を低減することによって脂肪吸収時の負荷を下げ吸収率を向上しうることが示唆された。 4) 脂肪酸の排泄形態から吸収性の悪い脂肪酸ほどケン化脂肪酸としての排泄が多く, 飼料A群のケン化ステアリン酸は飼料B群よりも有意に多かった。 5) Ca, Mgの吸収は飼料B群のほうがよかった。この吸収性の差は糞便中のCa, Mgの排泄量とケン化型のパルミチン酸, ステアリン酸の量の間に高い相関が認められたことからCa, Mgの吸収時に難吸収性の石鹸を形成することに起因すると推定された。