ヒトの副腎皮質ホルモンの日内リズムと食物摂取パターンの関係を明らかにする目的で, 成分栄養剤を経腸的に投与されている被検者の血中コルチゾール濃度の日内リズム変動を調べた。午前7時から午後9時まで明, 残りを暗とする明暗交替条件下で, 一日中持続的に栄養剤を投与された被検者では, 約2週間後にはコルチゾールリズムは完全に消失していた。しかし午前7時から午後11時までの16時間のみ投与する周期投与法を受けた被検者では, 投与開始時の午前7時にピークとなる明瞭なコルチゾールリズムが維持されていた。このリズムは, 通常の食習慣により朝, 昼, 晩と食事を摂っている場合のコルチゾールリズムと基本的には同じパターンであった。 これらの結果から, ヒトの副腎皮質ホルモンの日内リズムは, 明暗サイクルよりは栄養物摂取の周期性に同調するものと結論された。このことはまた, 経腸栄養を含む人工栄養法の新しいあり方を示しでいると思われる。