発癌剤であるMNNG投与による胃の腸上皮化生の発生過程に及ぼすデンプン食ならびにショ糖食摂取の影響を経時的に観察した。 1) 胃の腸上皮化生はMNNG投与により経時的に発生率が増大し, その程度も発生初期においてはショ糖食に比較してデンプン食が高かった。 2) MNNG非投与群においてもMNNG投与群よりも遅れたが, 加齢に伴い腸上皮化生の発生がみられた。 3) 小腸粘膜の二糖類水解酵素活性はMNNG投与により, 近位部位において若干抑制された。 それゆえ, 胃の前癌状態ともいわれる腸上皮化生の発生には, 加齢も大きな要因となるが, 動物の栄養条件によっても強く影響を受けるものと思われる。