日本産米 (コシヒカリ) の玄米をパーボイル加工した米と未加工米について, 40℃, 相対湿度80%の条件下に60日間貯蔵して人工的に古米化させ, これら2種の米の貯蔵に伴う物理化学的特性と化学的成分の変化をそれぞれの4℃貯蔵米を対照として比較検討した。 その結果, パーボイル加工米は未加工米に比ベて以下のような違いが認められた。 1) 炊飯特性は, 未加工米において貯蔵に伴う膨張容積, 加熱吸水率の増大を示したのに対し, パーボイル加工米においては, パーボイル加工に伴って膨張容積と加熱吸水率が減少したが, これを貯蔵した後の変化はほとんどみられなかった. 2) 米飯のテクスチヤーは, 未加工米, パーボイル加工米ともに貯蔵に伴って硬さの増加と粘りの減少がみられた。 3) 精白米中の脂質については, 未加工米において貯蔵に伴う遊離脂肪酸の増加と中性脂質の減少の傾向が認められたが, パーボイル加工米では, 遊離脂肪酸, 中性脂質のいずれもが加工に伴って減少し, その後の貯蔵による大きな変動はみられなかった。 4) 精白米中の遊離フェノール酸類は, 未加工米において貯蔵に伴い著しく増加するのに対して, パーボイル加工米では, 加工に伴って増加したが, その後の貯蔵によっては大きな変化は認められなかった。 5) 米を炊飯して得られるフレーバー成分を分析した結果, 未加工米, パーボイル加工米ともに貯蔵に伴ってほとんどのフレーバー成分が増加したが, その増加パターンは両者ではかなり相違していた。 以上の結果を総合すると, 未加工米においては酵素作用による影響が大きいのに対して, パーボイル加工米では酵素作用はほとんど認められず, 脂質の自動酸化の影響が大きいと考えられる。