綿実およびひまわり種子の成熟過程における遊離ステロールおよびステロールエテスルのステロール組成の変動と, 綿実種子の各部位脂質中のステロール組成について検討した。 1) 種子の成熟に伴い種子重量, 脂質量は増加した。総脂質中での不けん化物の占める割合は, 未熟種子ほど高く, 綿実の10日目で10.2%, ひまわりの15日目で5.2%であった。 2) 種子脂質中のステロール量比は, 両種子とも未熟種子ほど高い。綿実種子の遊離ステロールおよびステロールエステルの割合は, 10日目で4, 085.2および542.6mg/100g脂質であったが, 成熟に伴い比は減少し, 70日目で316.0および34.0mg/100g脂質になった。また, 成熟全期を通じ種子脂質中ではSEよりFSのほうが占める割合が多く, 綿実でおよそ1: 7, ひまわりで1: 5であった。 3) 綿実の成熟に伴い種子脂質中の遊離ステロールおよびステロールエステルともカンペステロールの占める割合が減少し, シトステロールの割合が増加した。遊離ステロールとステロールエステルのステロール組成の比較では, 遊離ステロールに比ベステロールエステルでは, コレステロールおよびカンペステロールの占める割合が高く, 逆にシトステロールの占める割合が低い。本傾向は成熟全期を通じほとんど変化なかった。ひまわり種子も遊離ステロールよりもステロールエステルのほうにコレステロールの占める割合が高い。 4) 綿実種子の各部位脂質中のステロール組成は, 種皮脂質にコレステロールの占める割合が高く, また, 遊離ステロールよりもステロールエステルのほうにコレステロール比が高い。子葉および種皮脂質に比べ胚脂質部にカンベステロールの占める割合が高く, かつ, ステロールエステルのほうに多い。スチグマステロールは種皮部を除いて子葉, 胚脂質にはほとんど含まれていない。 5) GCでコレステロールと推定されたものは, GC-MSでコレステロールであることを確認した。