幼若ラット (Sprague Dawley系, 雄, 3週齢) を用いて, PCB (0.025%) とDDT (0.01%) の複合投与によるV.Aの体内蓄積, 過酸化脂質の生成, P-450の誘導に対する飼料中の脂肪の種類 (大豆油, ラード) と量 (5, 25%) の影響について検討し, 次の結果を得た。 1) 飼料脂肪の種類と量を変えたとき, PCBとDDTの複合投与により, 高脂肪 (25%) の大豆油食で最も成長が悪く毒性が強くあらわれた。 2) PCB, DDTの複合投与による肝臓内のV.A貯蔵量の低下は, 脂肪の種類と量による差は認められなかった。 3) 高脂肪の大豆油食で肝臓の過酸化脂質が顕著に増加して, 成長の抑制と過酸化脂質の生成の関連が示唆された。PCB, DDTの複合投与による肝臓のV.E含量の低下は高脂肪食 (25%) で認められた。また両者の複合投与によって肝臓のGSHPx活性が有意に低下したが, 脂肪の種類と量の影響はほとんどみられなかった。 4) PCB, DDTの複合投与により, 薬物代謝酵素系のP-450に対し, 飼料中の脂肪の種類と量の影響はそれほど顕著ではなかったが, 大豆油はP-450含量を高める傾向があった。 5) 以上の結果は, PCBとDDTの複合投与による毒性が, 飼料脂質の条件によって影響をうけることを示唆している。