1) 運動部に所属する健康な女子大学生7名に, ビタミンB1不足食を9日間, その後精白米を胚芽精米におきかえた補強食を10日間摂取させ, 血中ビタミンB1濃度, 赤血球トランスケトラーゼのTPP効果, 糖質代謝係数 (CMI), 尿中ビタミンB1排泄量を測定した。 2) 実験食材料中のビタミンB1量は, ビタミンB1不足食4.49mg/日, 補強食0.70mg/日であったが, 調理後の含量はそれぞれ0.31mg/日, 0.54mg/日に低下した。 3) ビタミンB1不足食を9日間摂取することにより血中ビタミンB1濃度が低下し, TPP効果が上昇したが, 補強食後にはそれぞれ回復した。CMI, 尿中ビタミンB1排泄量には, ビタミンB1不足食後と補強食後とに差はみられなかった。 4) 本研究では一品料理などの簡単な献立, 清涼飲料水の多飲など, これまで種々の栄養調査により問題点を指摘されているような食事を短期間摂取することにより, 潜在的ビタミンB1欠乏に近い状態に至ることが明らかにされた。このことは, 平均栄養摂取量は良好であると言われる現在においても, 多数のビタミンB1欠乏者が存在することを裏づける結果であろう。さらに, 食事中の精白米を胚芽精米におきかえることにより, ビタミンB1不足状態が改善されたことは, 後者の栄養改善への有効性を示したものと考える。