腸管内常在微生物の有無という視点に立って, フローラの影響を明らかにするため, 7週齢の無菌ラットおよび通常化ラットを用いて反転腸管サック法により, 小腸中部と盲腸におけるアンモニア吸収の差異を検討した。その結果, 漿膜側溶液 (SF) 中へ移行してきたアンモニアと粘膜側溶液 (MF) 中のアンモニア濃度との比 (SF/MF) をもって吸収能を示すと, MFのアンモニア初濃度が1mMの場合, 無菌ラットの小腸管におけるアンモニアの吸収割合が, 通常化ラットのそれより優った。また, 15N-アンモニアを用いた実験においても, 同様の成績を得た。しかし, 盲腸におけるアンモニア吸収についての両ラット間の差異は明瞭でなかった。