健康な男子6名を被験者とした。運動期と非運動期のそれぞれに76mgN/kg/日, 111mgN/kg/日の2段階のタンパク質摂取期を設けた。そして尿中窒素排泄量, 糞中窒素排泄量, 経皮窒素損失量を測定し, 窒素出納法によりタンパク質最小必要量に及ぼす運動の影響について検討した。結果は以下のとおりである。 尿中窒素排泄量はI期, II期ともに非運動期と比較して運動期で有意に減少した。経皮窒素損失量は逆に非運動期に比ぺて運動期で有意に増加した。その結果, 経皮窒素損失量を含めた窒素出納値は運動期と非運動期では娠とんど差がみられなかつた。窒素摂取量と窒素出納値との相互関係を示す回帰直線から求めた窒素出納維持量は運動期と非運動期で差がみられなかった。以上の結果より, 運動によるエネルギー消費にみあうエネルギー量を添加した場合には経皮窒素損失量の増加は尿中窒素排泄量の減少により十分に代償され, 運動はタンパク質最小必要量に影響を与えないことが示された。