ラットにカプサイシン (とうがらしの辛味成分) を大量投与し, 胃および小腸におよぼす影響を観察して次のことが明らかとなった。 1) カプサイシン (0.14mg) を1日1回, 3日間連続に胃内に注入したところ, 胃内容物が十二指腸へ移行するのが遅延した。 2) カプサイシン (0.14mgあるいは1.4mg) を3日間連続投与後, さらに1日間飢餓状態にしたラットにおいては, 小腸内容物の乾燥重量, 窒素量, 脂質量が対照群よりも増加した。一方, カプサイシン投与後, 1日間飢餓にしたのち飼料を与えた場合には, 胃内容物の乾燥重量, 窒素量, 脂質量が対照群よりも多かった。 3) カプサイシン (1.4mg) を3日間連続投与したラットの胃体部ならびに小腸粘膜を走査型電子顕微鏡で観察したところ, 胃体部の表層粘液細胞は破壊されて, 胃小窩の内面が露出した異常像がみられた。また, 小腸粘膜の絨毛も異常な像を示した。