多量に摂取し, 栄養学的バランスや生体に大きな影響を与えている砂糖やアルコールの広範囲の生体影響をみる目的で, 肥満をおこしにくいFisher系雄ラットを用い, 5% ethanolと15% sucroseの9か月間にわたる慢性投与実験を行ない, 次の結果を得た。 1) ethanol投与群, sucrose投与群ともに飲料水中エネルギー量分だけ摂取飼料量を減らす傾向を示し, 調査した投与5か月目, 投与9か月目ともにcontrolとの差がほとんどないほど厳密に摂取エネルギー量を揃えた。またFisher系ラットはsucroseを好み, 5% ethanol投与群が蒸留水と同程度の飲水量であったのに対し, 5% sucrose投与群は2倍以上の飲水量を示した。 2) ethanol投与群, sucrose投与群ともに血圧の上昇は示さなかった。 3) ヘモグロビン, ヘマトクリットおよびSMACによる20種類の臨床検査を行なったところ, 総ビリルビンとγ-GTPは検出限界以下であった。それ以外の項目でethanol投与群はcontrol群に比べGPTとClの有意な低下とアルカリフォスファターゼ, BUN, Fe, Kの有意な増加を示した。一方, sucrose投与群はcontrol群に比べヘモグロビン, ヘマトクリット, A/G比, GOT, GPT, アルカリフォスファターゼ, 尿酸, 中性脂肪, カルシウムの有意な低下を示した。 以上の結果からethanol投与で肝臓と腎臓に障害を示す傾向が, sucrose投与で貧血と全身の活性の低下の傾向が示された。