食品中のステロールと脂肪酸を定量するために共通に用いられる抽出測定方法の検討を行ない, 次に, 昭和59年の国民栄養調査成績を参考にして作成したモデル献立 (3例) 中の含量を測定し, 摂取量を推定した。 1) クロロホルムーメタノール (2: 1) 法 (CM法) とCM法と熱ベンゼン法の組合せ法 (CM-B法) を用いて, ステロールと脂肪酸の抽出量を, とびうお, 鶏肉, さつまいもと1日の献立に相当する食品の混合試料について比較したところ, これら4試料でのステロールと脂肪酸の平均抽出率は, CM法に対してCM-B法では111.8±4.1%と112.3±9.8%で, CM-B法のほうが抽出率が高かった。次に, ステロールおよび脂肪酸抽出量に及ぼすけん化時間の影響を検討するために, サラダ油とマヨネーズと牛肝臓について30分と60分けん化を行ない, 抽出量を比較したところ, ステロール抽出量はけん化時間によりほとんど差がみられず60分けん化に対する30分けん化の平均抽出率比は98.6±1.6%で, また, 脂肪酸抽出量は30分けん化のほうが60分けん化より多い傾向がみられ, 平均抽出率比は103.2±2.6%であった。 2) 献立構成食品混合物の脂質をCM-B法で抽出し, 30分けん化後ステロールと脂肪酸を定量した結果, 昭和59年の1人1日平均摂取量は, コレステロール401mg, 植物ステロール381mgであった。総脂肪酸摂取量は52.4gで, SFA, MUFA, PUFAはおのおの18.5, 21.4, 12.5gで, PUFA/SFA比は0.70であった。