オキアミキチンの食物繊維としての特性を知るために, オキアミキチンの他, イセエビキチン, セルロースを5%レベルで加えた精製飼料 (カゼイン10%) 3種を調製し, 成長期のラットを用いてタンパク質およびミネラル (Ca, Mg, P) の利用性に対する影響を検討した。 3種の食物繊維の水中沈定体積 (SV) は, オキアミキチンが36.0ml/g, イセエビキチンが12.0ml/g, セルロースが5.9ml/gであった。 net protein ratioに対する影響ならびに飼料中窒素 (キチン態窒素を除く) の体内保留率を調べた結果, 各食物繊維による差は認められなかった。 Ca, Mg, Pの出納試験の結果, 各ミネラルの利用性は, セルロース区が最もよく, 次いでイセエビキチン区であり, オキアミキチン区が最も劣っていることがわかった。この出納試験の結果とSVの対数との関係を検討したところ, 強い相関 (|r|=0.707~0.943, p<0.01) が認められた。また, 出納試験ほど顕著ではなかったが, 骨分析の結果でも似た傾向が示された。これらのことから, ミネラルの生体利用性への影響は, SVのような物理的性質によるところが大きいと考えられた。