食料需給表による食品群別供給量および, 国民栄養調査成績による食品群別消費量を用い, かつ2種類の食品群別亜鉛含量を定め, 計算により1930~83年までの日本人の亜鉛供給・摂取量を推計し, 逐年変化を調べた。亜鉛供給・摂取量は, 第二次世界大戦直後に著しく低水準となり, その後1950年代半ばまでに急速に回復し, 1970年代以降は横這い状態であることが観察された。亜鉛摂取量の逐年変化パタンは, タンパク質摂取量のそれと類似性が高かった。なおわれわれの研究室で実測した食品の亜鉛含量に基づいて定めた食品群別亜鉛含量から計算した亜鉛摂取量は, マーケット・バスケット方式による実測値ときわめて近い値となった。