1) 同日・同場所で採取した養殖ワカメの生育段階別粗灰分・鉄・カルシウム・リンは無水換算値で幼葉期 (Stage 1-3) に多い傾向が認められた。ヨウ素は生育段階における含有量に有意差は認められなかった。 2) 同日・同場所で採取した天然ワカメの生育段階別リン・鉄含量は, 幼葉期 (Stage 1-3) に多い傾向が認められた。粗灰分・カルシウム・ヨウ素に生育段階別の有意差は認められない。 3) 養殖ワカメの各生育段階における部位別無機質含有量は, 成実葉形成期 (Stage 3) では粗灰分は根・茎部に多い。カルシウムは根・葉部に多い。リン・ヨウ素は部位別に有意差はなく, 鉄は根に多い。 成熟期 (Stage 4) について試料の得やすさから葉・茎について先端・中央・基部に分けて試料を作成し定量した結果, 葉部ではカルシウム・リン・ヨウ素・鉄とも先端部に多く次に中央部に多い傾向を示した。粗灰分には差は認められなかった。茎部では粗灰分は先端・基部に多い。カルシウム・リンは先端・中央部に多い。ヨウ素は基部・先端に多い。鉄は基部・中央部に多い。 老成期 (Stage 5) の粗灰分とカルシウムは茎・葉部に多い。ヨウ素は葉部に多い。鉄は茎に多く含まれる。リンは部位別含量に差は認められない。 4) 養殖ワカメの生育条件別無機質含有量は粗灰分と鉄が密殖に多い。カルシウムは疎殖に多い。リンとヨウ素含有量に有意差は認められない。 5) P/Caモル比は, 老成期にリンの急激な減少とカルシウムの増加により低値となり, したがってワカメの成長期に高値を示した。