野菜の切断傷害が有機酸組成におよぼす影響について明らかにするために, 大根を実験材料として用いて, 貯蔵中の切断組織の有機酸組成の変化について次のような知見を得た。 1) pHの変化: 大根切断組織の貯蔵中に, 10℃と20℃でpHの低下が認められた。 2) 有機酸の種類: 細管式等速電気泳動装置で, 貯蔵開始時の組織にリンゴ酸とフマル酸を検出し, 貯蔵後の切断組織に貯蔵条件によっては乳酸と酢酸も検出した。 3) 有機酸組成の変化: 殺菌処理した大根の切断組織のリンゴ酸量は5, 14, 20℃で24時間後, ともに増加し, 48時間後, ともに減少した。切断組織を無酸素状態で貯蔵すると10, 20℃で24時間後, ともに乳酸が生成し, 48時間後さらに若干増加した。さらに無酸素状態では20℃で48時間後には酢酸も生成した。また殺菌処理しない状態で切断組織を貯蔵すると, 20℃で48時間後に, 乳酸と酢酸が現われた。