ラットに胃全摘処置を施し, 消化管術後のモデルを作製した。このラットにMCTを含む飼料を投与した場合のCHO代謝をはじめとする脂質代謝に及ぼす影響を, サフラワー油を投与した場合と対比させて検討した。さらに, MCT投与による副作用として肝機能および血中ケトン体の上昇についても検討した。 1) 胃全摘処置を施したラットは成長の抑制が認められた。また, このラットにサフラワー油を投与した場合の血清脂質は同一飼料を投与した健常ラットと比較して低下する傾向にあった。このことから, 胃全摘ラットは吸収障害を伴って低栄養下にあることが推察された。 2) 胃全摘ラットにMCTを投与した場合は, サフラワー油を投与した場合に比べ血清脂質が増加し, より健常レベルに近づくことが認められた。さらに, MCTとサフラワー油の投与比率を変えた場合には, その比率を高めるに従って, 血清脂質が増加する傾向にあった。このことから, 胃全摘ラットの血清脂質はMCT投与により改善され, 結果として栄養状態も改善されることが示唆された。 3) 本実験では, MCT投与による肝機能異常は, 認められなかった。また, 血中ケトン体レベルの上昇はMCT投与による影響よりも18時間の絶食による影響のほうがより顕著であった。また, 尿中には検出されなかった。