食材料 (生鮮67種, 加工・調理済70種) を一般市場より購入し, 某女子大生の食事記録に基づき83種の料理を作成した。これらの食材料と料理のセレン含量をWatkinsonの方法によって測定し, その値を文献値と比較した。これらの値に基づき, 食品群別セレン含量を定め, 国民栄養調査の結果 (昭和60年) を用い, 日本人1人1日あたりセレン摂取量を推定した。 1) 生鮮食材料のうち高値を示したものは, 魚介類, 肉類, 卵類であった。文献値と比較すると, 生鮮, 加工両食材料ともにかなり食い違うものがみられた。 2) 1人1回分の料理のセレン含量の大きかったものは, めん類, 卵料理, 肉料理, 魚介類の料理であったが, 料理のエネルギー含量100kcalあたりでみると, もっとも大きいものは魚料理であった。なお, 調理によるセレンの損失の可能性が一部の料理に認められた。 3) 日本人1人1日あたりの推定摂取量は, 調理損失を考慮しないと, 104.2μgであった。