GTG誘導性肥満マウスにおいて, 膀子宮脂肪組織腎周囲脂肪組織および皮下脂肪組織のcellularityを経時的に測定し, 部位によるcellularityの応答性の差異を調べた。同時に脂肪細胞数の増加のメカニズムについても検討した。 各脂肪組織とも肥満の発達にともない脂肪細胞直径が増加した。膀子宮脂肪組織ではGTG投与後2週目以降に, 腎周囲脂肪組織ではGTG投与後より早い時期に脂肪細胞の数の増加が認められた。これに対し皮下脂肪組織では脂肪細胞の肥大が遅く, GTG投与後6週目に脂肪細胞のわずかな増加傾向が観察されたのみで脂肪細胞数には有意な変化はなかった。脂肪細胞直径の分布パターンは脂肪細胞数の増加にともない直径の小さな部分にもピークをもつ二相性を示した。このことは脂肪細胞数の増加が小さな脂肪細胞の補充によって生じたことを示唆している。また, この傾向はどの部位においても観察されたことから, 脂肪細胞数の増加は部位に関わらず同じメカニズムで生じるものと考えられた。 今回の結果は脂肪がある一定の大きさに達すると新しい小さな脂肪細胞が補充されるという仮説を支持している。