ジャガイモデンプンと, ポテトプロテインに内在している脂質を比較検討した。その結果は次のようであった。 1) ジャガイモデンプンは0.015%の脂質を, また, ポテトプロテインは1.470%のそれを含有していた。 2) 中性脂質と極性脂質の割合は, 前者が60: 40, 後者は70: 30であった。 3) おもな中性脂質は, 両者とも遊離脂肪酸が圧倒的に多く, そのほかにジャガイモデンプンにはジアシルグリセロール, また, ポテトプロテインにはトリアシルグリセロールが次いでいた。 4) 極性脂質として多いものは, ジャガイモデンプンでは糖脂質として, ステリルグリコシドやジグリコシルジアシルグリセロールなど, また, リン脂質としてホスファチジルコリンとホスファチジルグリセロールであった。一方, ポテトプロテインでは糖脂質として, ジャガイモデンプンと同じくステリルグリコシドやジグリコシルジアシルグリセロールは多かったが, リン脂質は少なかった。 5) ジャガイモデンプン, ポテトプロテインとも, 全体としてもっとも多い脂質クラスは, 遊離脂肪酸であった。 6) 構成脂肪酸については, 両者は全脂質でも遊離脂肪酸でも, パルミチン酸が首位を占めていた。