妊娠ラットに各種脂肪酸エチルエステル混合物を摂取させて, 食餌性脂肪酸の乳汁中脂肪酸構成に及ぼす影響を検討し以下の結果を得た。 1) C16: 0は摂取量の影響を受けず, 乳汁中ほぼ一定の含量を示した。C18: 1ω9, C18: 2ω6およびC18: 3ω3は, 摂取量と乳汁中含量に高い正の相関があった。 2) 一次回帰から推定して, C18: 1ω9=C18: 2ω6>C18: 3ω3の順でそれぞれの摂取量の増加により乳汁中含量は増加した。 3) 食餌中のC18: 2ω6, C18: 3ω6およびC18: 3ω3の増加は乳汁中PUFA含量を高めた。ω-6系のC18: 3はC18: 2より有意に乳汁中ω-6系PUFA含量を高めることから, C18: 2より容易に母体で代謝されることを示唆した。 4) ω-3系脂肪酸は摂取量の減少に伴って乳汁中含量も減少し, かつ母体由来からの移行も少なく, 食餌依存性が高いと考えられた。 5) 無脂肪食は乳中のC8: 0, C10: 0, C12: 0およびC14: 0の割合を有意に高め, 乳腺のこれら脂肪酸合成能を促進することが示された。