昭和60年から61年にかけて三重県南勢町五ケ所浦で養殖されたヒトエグサの各生育段階のものを収集し, 成分変動にともなう抗酸化活性と腫瘍抑制効果を検討した。 1) 12, 1, 2, 3, 4, 5月期に採集した6種類のヒトエグサの塩化メチレンおよびメタノール抽出した区分は, 両画分ともに強い抗酸化性を示した。とくに1月期に採集した区分にもっとも強い抗酸化性がみられ, その後生育にともない抗酸化活性が弱まった。しかし今回の結果は粗抽出物でありながらα-トコフェロールよりも強い抗酸化性を示していた。 2) 1, 3, 5, 9月期に採集したヒトエグサのSarcoma 180移植マウスに対する腫瘍抑制作用を調べたところ, 9月期の遊走子嚢には抑制効果は認められなかった。そして1月期の試料にも抑制効果が認められなかった。しかし3, 5月期に採集したものには50%以上の抑制率が示された。このことより, 同じヒトエグサであっても生育段階が異なれば抑制効果が異なることが示唆された。