著者らは生体情報の一つであるHRを用いてエネルギー消費量を予測するより簡便で適切な方法を開発するために, 成人女子 (有職者) 3名を被験者として, 24h-HRR法に関する基礎的検索を行い, 次のような知見を得た。 1) VO2とHRとの関係から, 身体活動の低水準時 (仰臥位, 座位および椅座位) と身体活動時におけるそれぞれ2本の回帰直線が得られた。身体活動時は両者の間にはほぼ正比例の関係 (r=0.996, p<0.001) が得られたが, 身体活動の低水準時はr=0.432~0.615とその相関は低く, 個体によりばらつきが認められた。 2) 当該被験者の日常生活におけるHRの大部分が70~100beats/minの範囲内に分布し100beats/min以上のHRが記録されるのは, 特殊な負荷作業またはスポーツを行った場合であった。 3) 24h-HRR法によって1日の総エネルギー消費量予測値を求める場合, 著者らの設定した基準値SHRを用いるとVO2/HR法の値より15~20%高値となるが, その相関はRHR (r=0.494) に比べてr=0.731 (p<0.001) と高く, 有意な正相関が得られた。このことは24h-HRR法の実用化に際してSHRを基準値として適用することの可能性を示すものと考える。