脱脂米糠中に含有されるチアミンをパン酵母に集積させることによって効率よく濃縮する方法について検討し, 以下の知見を得た。 1) 米糠抽出液中から酵母へのチアミンの集積における至適pHは4.5~5.0, 至適温度は37~40℃であり, 酵母は米糠抽出液中に含有されるショ糖等をエネルギー源としてチアミン塩酸塩水溶液からの集積と同様に, 能動輸送により, チアミンを集積する。 2) 米糠抽出液から酵母への一定時間後のチアミンの集積量はチアミン塩酸塩水溶液からのそれよりも少ない。しかし米糠抽出液中に共存する諸成分には, 集積に際して阻害効果をもつもののみでなく, 促進効果をもつものもあり, 複合的に上記の能動輸送を修飾しているものと考えられる。 3) 米糠抽出液中から酵母へのチアミンの集積は, 糖を含む緩衝液中で酵母を前培養すること, および/または米糠抽出液をあらかじめ加熱することにより, 増大させることができた。