健康な若年女性9名を対象に基準食 (C食: 粗繊維5g), 高繊維食 (F食: 粗繊維15g) の2種の食事をおのおの卵胞期に10日間摂取させ, 血圧ならびにその関連因子と脂質, 糖質代謝に及ぼす高繊維食の影響を検討した。 1) 高繊維食 (F食) では, 食事中のKならびにMgがC食に比べて有意に高くなった。 2) 収縮期血圧, 拡張期血圧ともにF食で有意に低下した。 3) 血漿レニン活性はF食で有意に低下した。血漿アルドステロン濃度は両食間で差はみられなかった。尿中アルドステロン排泄量, カリクレイン排泄量はF食で有意に増加した。 4) 血清Kの上昇傾向と, 血清Na/K比の低下傾向がF食でみられた。 5) 血清総コレステロール, HDL-コレステロールはF食で有意に低下した。[血清総コレステロール] - [HDL-コレステロール] はC食に比べF食で有意に低値を示した。中性脂肪もF食で有意に低下を示した。 6) 空腹時の血清インスリン濃度には差がみられなかった。血清グルコースはC食に比しF食で低い傾向を示したが有意でなかった。 以上のことから高繊維食で有意な血圧ならびに血清脂質の低下が示唆された。このことは食物繊維の作用に加えて, Kによる血圧降下作用の相乗効果も考えられた。