Bifidobacterium longum SBT2928 (BL2928) を腸管定着させ, 雄性C3H/HeGbマウスの肝腫瘍自然発生ならびに腸内代謝に及ぼす影響について検討し, 以下の成績を得た。 1) BL2928の腸管定着によって, E. coli M66のみが有意に減少し, 同時に糞便pHの低下が認められた。 2) BL2928の腸管定着によって, 盲腸重量の著しい低下が認められた。 3) 検索した糞便酵素活性には, いずれも差が認められなかった。 4) 糞便内フェノール類含量には, 量的な差は認められず, 同時に検索したインドール類についても差は認められなかった。 5) 肝腫瘍発生率はBL2928の腸管定着によって, 約30%低下し, 平均腫瘍発生数に差が認められた。 以上の結果より, 今回検索した腸内細菌の代謝の項目にはいずれも差が認められず, とくに注目した糞便中のフェノール類含量にも差は認められなかった。したがって, 本実験系の腫瘍発生機作に関し, これら代謝系の関与の可能性は低いことが示唆された。