Mann-Williamson吻合術を施し, 消化吸収を障害したラットに, エネルギー源としてデキストリンのみとした飼料あるいはこのデキストリンのエネルギーの一部をMCTで置換した飼料を等エネルギー摂取させた。そして各飼料が術後の体重増加をはじめとする栄養指標に及ぼす影響を比較検討した。その結果, 1) デキストリンの一部をMCTで置換すると, デキストリン単独に比較して術後の体重増加を促進し, 窒素出納を良好にする効果が認められた。 2) デキストリンの一部をMCTで置換すると, デキストリン単独に比較し筋タンパク合成を亢進することが示唆された。 3) 血清生化学検査において, MCT配合による肝機能, タンパク成分に変化はなかった。また, MCT配合では中性脂肪濃度は低下しなかった。 以上により消化管術後などの消化吸収の障害時においてもエネルギー源の一部として置換されたMCTはデキストリン単独配合に比較し術後の栄養状態の改善に有効であると思われた。