ビタミンD欠乏ラット (D欠乏ラット) を用いて牛骨粉 (bovine bone powder: BBP) のCa栄養効果を炭酸Caを対照に比較検討した。D欠乏ラットに炭酸CaあるいはBBPをCa量として1.2%含む飼料を与え, D補給および非補給条件下, 28日間飼育した。その間および飼育終了直後の血中Ca代謝ならびに大腿骨骨長, 重量, 骨密度および骨強度を測定し以下の結果を得た。 1) D補給の有無に拘らず, BBP添加群は炭酸Ca添加群に比べ順調な体重増加を示した。一方, 炭酸Ca添加群では体重増加はきわめて悪く, Dを補給してもまったく改善は見られなかった。炭酸Ca添加群において血中リン濃度の急激な低下が見られたことにより, この群で見られた体重抑制は腸管よりのリン吸収阻害が原因となって惹起されたものと推察された。 2) D補給の条件では, 炭酸CaおよびBBP添加群ともに高いCa栄養効果を示し, 両群間に有意な差は見られなかった。しかし, Dの補給がない場合ではBBPのほうが炭酸Caに比べ高いCa栄養効果を示した。 3) D補給の有無にかかわらず, BBP添加群は炭酸Ca添加群に比べ有意な骨成長, 骨密度および骨強度の増大を示した。これらの結果より, BBPは腸管よりのリンの吸収に影響を及ぼすことなく, 高いCa栄養効果を示す食事性Ca源となるものと考えられる。