地域住民のビタミンB1摂取量の現状を把握するため九州地域に居住する (沖縄を除く) 中年夫婦の農業従事者およびサラリーマンを対象にB1摂取量を検討し, さらに食生活指導上の目安とするため, 摂取エネルギーに対するB1所要量 (0.4mg/1,000kcal) を用いて, B1摂取量 (調理による損耗率50%として) と比較し, B1過不足の評価を試みた。 1) 農業従事者30組の夫婦の血中B1濃度は, 40ng/ml以下のものが夫60.0%, 妻73.3%であった。2) 同一対象のB1摂取量は, 夫0.78±0.38mg/日, 妻0.65±0.32mg/日で, 摂取エネルギーに対するB1所要量は, 夫0.97±0.22mg, 妻0.80±0.17mgであり, それぞれ80.4%, 81.3%の充足率であった。3) 農業従事者196組, サラリーマン206組の夫婦のB1摂取量は, 摂取エネルギーに対するB1所要量と比較すると, すべてのグループが, 不足と評価された。不足の者の割合は, 農業従事者夫93.4%, 妻92.3%, サラリーマン夫76.2%, 妻72.8%であった。4) B1摂取量を, 低摂取群, 平均摂取群, 高摂取群に分けて評価すると, 高摂取群のみがB1充足と評価された。5) B1高摂取群は, 農業従事者では, 緑黄色野菜, 米, 果実が多く摂取され, B1の給源として寄与しており, サラリーマンでは, 肉, 緑黄色野菜が多く, B1給源として寄与していた。6) 米が増加すればするほど, B1摂取量は, 不足の程度が大きくなることが確認された。7) 食品群別のB1摂取構成比および100kcal当りのB1摂取量から検討してみると, 肉, 魚介, 野菜, 大豆製品, 果実, 芋等がB1給源として重要であり, その量を調整して摂取するよう指導することによりB1摂取量を充足させることが可能であるということが確認された。 本対象の食生活調査は, 九州実践栄養。