先に著者らが決定したICP法を用いて穀類および豆類の加工食品の微量元素 (Mn, Zn, Cu, Mo, Cr, Se) およびMgを定量し, 加工による含有量の変化の程度を把握した。固形物中の含有量を用いて比較すると, 次の特徴的な変化が見られた。 1) 穀類の一次加工品においてZnとCrは玄穀に比べて有意に低下した。 2) 小麦二次加工品における特徴的な点として, パン類のCrとSe, うどん類のSeが原料の小麦粉より高値であり, ふではMgとMn以外の元素が原料より高値であった。 3) 大豆加工品のみそ類とデンプン性豆類の煮豆で多くの元素の低下が認められた。逆に納豆のCr, みそ類と豆乳のSeは大豆のそれらより増加した。 4) デンプン性豆類のSeは大豆の場合と同様にタンパク質と結合しており, 結合量は大豆より多かった。