8%カゼイン食餌と27%カゼイン食餌でマウスを4週間ないし5週間飼育し, 各種免疫機能の変動について検討し以下の結果を得た。 1) 低タンパク食餌群は体重増加が抑制され血清タンバク濃度も低下した。 2) リステリアに対するDTH反応において, 低タンバク食餌群はC3H/He, ICRのいずれのマウスにおいても反応性の低下が示唆された。 3) SRBCに対する一次応答性抗体産生能において, 低タンバク食餌群は脾細胞数の増殖抑制により全体として抗体産生細胞数は低値を示した。 4) YAC-1細胞に対するNK活性は低タンパク食餌群とコントロール食餌群は同程度であった。 5) 腹腔マクロファージの大腸菌に対する貪食能においては, 低タンバク食餌群由来のマクロファージが低い貪食性を示した。 6) 細菌感染抵抗性に関しては, 大腸菌とリステリアに対する一次感染抵抗性において, 低タンパク食餌群がコントロール食餌群に比べやや高い抵抗性を示した。しかしリステリアに対する二次感染抵抗性は明らかに低タンパク食餌群で低下した。 以上の結果, 低タンパク食餌投与により生じる低栄養状態と免疫機能との間に密接な関連性のあることが明らかになった。 さらにこのモデルが栄養剤や栄養素材の評価に用いることができる可能性も示唆された。