VE欠乏ラットのGSH低下による腎臓障害に対するGSH monoisopropyl esterの投与効果を明らかにするため, この障害の程度を前報よりも軽微にしたより緩和な条件下でリポフスチン生成および腎臓機能や組織障害を指標に検討を行った。 1) GSH ester投与は腎臓内GSH量を増加させ, リポフスチン量の急激な上昇を抑制した。 2) GSH ester投与は血清クレアチニン量の増加, 腎臓内酵素活性の低下を抑制した。 3) GSH ester投与は近位尿細管上皮細胞壊死を完全には防御することはできなかったが, 近位直尿細管上皮細胞のうちヘンレループの下行脚に近い部位に限定して非常に狭い範囲にのみ壊死が観察できる程度にとどめることができた。 4) GSHは過酸化脂質からのリポフスチン生成を抑制し, 腎機能低下や腎障害の防御に関与する可能性が強く示唆された。