高知県特産の小夏の食物繊維について以下の検討を行った。 1) 可食部100g当りのDF量を酵素-重量法の変法を用いて測定した。小夏の総DF量は, 1.9gとなり温州ミカン (1.0g) およびグレープフルーツ (0.9g) の約2倍量含んでいた。また, そのIDF/SDF比は, それぞれ約2, 1, 0.3で小夏のDFはとくにIDFを他のカンキツ類より含んでいた。 2) 小夏および温州ミカンのDFのCaの吸着性について検討した。小夏DFは, 2価陽イオンをCa量に換算して可食部100g当り約45mgを吸着したが, それ以上吸着した2価陽イオンは, 溶存Ca濃度の低下にともない遊離することが示された。一方, 温州ミカンのDFは小夏に比べて吸着するCa量は少なかった (可食部100g当り約16mg)。 3) 小夏を中果皮ごと摂る食べ方は, 高知県外出身の学生には, やや受け入れにくいものであったが, 小夏の嗜好性は, 受け入れやすいが最も多く, 県内出身の学生だけでなく食べ慣れていない県外出身の学生にも受け入れやすいカンキツであることが示唆された。