レシチンヒドロペルオキシドの微小管形成への影響が検討された。牛脳チューブリンからの微小管形成は, 市販レシチンから生じたヒドロペルオキシドによって阻害された。その阻害程度は, ヒドロペルオキシドの添加量に依存していた。この事実は, 生体内でもまたチューブリンと細胞膜リン脂質から生じた脂質過酸化物との相互作用が起こっている可能性を示している。細胞骨格で観察される異常とアルツハイマー症との関連や, 微小管系がその病気と関係しているという仮説などから考えると, この相互作用はある種の脳障害の原因となっているのであろう。