市販のプラスチックケージの中で, 細断濾紙を床敷に用いて飼育されている普通 (CV) および無菌 (GF) マウスに, 精製全卵タンパク質 (WE) またはWEと同じアミノ酸組成をもつ結晶アミノ酸混合物 (AA) を, 窒素 (N) 量×6.25としてそれぞれ6, 10, 14%含む飼料と, 無タンパク質 (P. free) 飼料を与え, 飼料摂取量, 分離・採取された糞と尿の全N量などを測定した。WE飼料を与えたCVマウスの摂取量がGFのそれより多かったが, 一般的には, 飼料N源が異なってもその体重変化や飼料摂取量に違いはみられなかった。体重100g当りの飼料摂取量は, N含有量の高い飼料ほど少なくなる傾向を示した。1日体重100g当りの糞の全N量において, WE飼料群の方がAA群より高い例が多かったが, 同種の飼料を摂取したCVとGFマウスの間, ならびに, 摂取飼料のN含有量が違っても, その糞の全N量は変わらなかった。一方, 尿の全N量は, 飼料N含有量に比例して増加する傾向を示し, WE飼料摂取のCVマウスでは, GFマウスより多い例がみられた。なお, AA飼料群の尿の全N量はWE群のそれより高い例が多かった。糞の全N量に占めるタンパク態N量の割合では, 一部の例を除き, CVマウスがGFのそれより高かった。以上, 細断濾紙を床敷とする本実験方式でも, マウスにおける糞と尿の分離・採取や, 飼料摂取量ならびにN代謝量の測定が可能であると考えられた。