動物脂肪を構成する主脂肪酸からなるトリグリセライドの摂取が, 血中脂質, リポタンパク質組成等に与える影響をみた。 健康な若年成人女子12名を被験者とし2群に分け, I期ではトリオレイン (O食群) およびトリリノレイン (L食群) を, II期ではトリステアリン (S食群) およびトリパルミチン (P食群) を, 7日間の通常食をはさみ, それぞれ高負荷量を食事に組み込んで5日間の短期投与による検討を行った。 主な結果は以下のとおりである。 1) トリオレインおよびトリリノレイン投与により血清総コレステロール, アポAI, AIIおよびBの減少がみられた。また, LDL画分のコレステロール, トリグリセライド, リン脂質の減少が認められた。HDL-コレステロールに変化はなかった。 2) トリステアリン投与により血清総コレステロール, LDL-コレステロールの減少が, HDL画分ではコレステロールおよびトリグリセライドの減少がみられた。アポAIおよびBの減少も認められた。 3) トリパルミチン投与により血清総コレステロールおよびLDL-コレステロールに対する上昇作用はみられなかった。しかし, HDL-コレステロールおよびアポAIの減少が認められた。 以上より, 動物脂肪を構成する主脂肪酸は単独投与の場合, いずれの脂肪酸についても, 血清中のコレステロールを上昇する作用を持つものはなく, 今後はこれらの組合せによる天然の動物脂肪を中心とした食生活が, どのような条件下で梗塞性疾患罹患の危険を高めるのかについて検討の必要があると考える。