ラットの体重, 血清コレステロールレベルおよび腎臓と精巣周囲の脂肪細胞に及ぼす乾燥ビール酵母 (DY) の影響を明確にするため, 成長期と高齢期のラットを用いて検討した。その結果, 以下の知見を得た。 1) 生後23~83日齢の期間自由摂餌下で飼育したラットの体重は, 生後24~100日齢の期間85%制限給餌下で飼育した場合と同様に, DY群が対照より低値を示した。このDYによる体重の変動作用は, 日齢で異なっていた。また, 性差がみられ, DYを多く含むほど大きかった。体重低下の程度と摂餌量または摂水量との間には, 相関がみられなかった。高齢期ラットの体重は, 40日間DY飼料で飼育しても25% DYで徐々に減少する傾向がみられたが, 有意な変化を示さなかった。したがって, DYによる体重の変動作用は成長期ラットで認められるが, 成長が停止した高齢期ラットでは大きな変化がみられない。 2) 血清中の総コレステロールとHDL-コレステロールの各濃度は, 成長期ラットではDYによって大きな影響がみられなかったが, 高齢期ラットではDY量に比例して有意に低かった。 3) 脂肪細胞の半径と体積は精巣周囲部でDYの含有量に比例して増大したが, 腎臓周囲部ではDYの影響がみられず, 部位差がみられた。25% DY群の場合, 精巣と腎臓周囲の脂肪細胞数は, 対照に比べて54~72%有意に少なかった。