全国46地区で採取した2, 279検体の人乳を対象として, 3′-SLおよび6′-SL含量を泌乳期および季節別に測定した。3′-SL含量は, 全泌乳期を通じて10~17mg/100mlとほぼ一定値を示した。一方, 6′-SL含量は, 分娩後6~10日の夏季乳で77.8mg/100ml, 冬季乳で75.9mg/100mlと最高値を示した後, 泌乳期を経るとともに減少し, 分娩後241~482日では夏季乳で12.8mg/100ml, 冬季乳で9.6mg/100mlと初乳の約14~17%になった。総SL含量は, 初乳および移行乳で約85~90mg/100mlを示した後, 泌乳期を経るとともに減少し, 分娩後241~482日では約25mg/100mlであった。また, 乳中総シアル酸あたりのSL型シアル酸の割合は, 分娩後3~5日で最低値28.6%を示した後, 分娩後121~240日の46.0%まで増加した。12% TCA可溶性画分中のシアル酸あたりの割合は, 分娩後6~10日に最低値39.2%を示した後, 分娩後121~240日の63.3%まで増加した。SLは, 人乳中に最も多く含まれるシアル酸含有オリゴ糖であり, 乳児にとってシアル酸の重要な供給源と考えられた。