ラットの心筋ODC活性がタンパク質摂取により誘導されるか, またisoproterenol (ISO) 投与刺激によりこの酵素活性が上昇をきたす際に摂取タンパク質が影響を与えるかを検討した。その結果, カゼイン群の心筋ODC活性は, 絶食群, 無タンパク食群, ツェイン食群のそれらに比べ有意に高値であった。ISO投与による心筋ODC活性, 心筋putrescine含量の上昇も, カゼイン摂食群が絶食群と無タンパク食群に比し有意に高値であった。これらの結果から, タンパク質摂取によるODC誘導にはタンパク質の栄養価が高いことが必要であり, また, 交感神経刺激による心筋ODC活性の上昇をも食事タンパク質摂取が修飾することが示された。このことは心臓の成長や病的心肥大におけるタンパク質栄養の関与を示唆するものと考えられる。