ラットの赤血球 (RBC) をPercoll液を用いた密度勾配遠心法で低密度赤血球 (LD-RBC) と高密度赤血球 (HD-RBC) に分画し, そのリン脂質ハイドロパーオキサイド含量と食餌油脂の影響を調べた。その結果, ピルピン酸キナーゼ活性はHD-RBCでLD-RBCより低い傾向があり, 糖化ヘモグロビン含量は明らかにHD-RBCでLD-RBCより高く, HD-RBCは老化赤血球を多く含む画分と判断された。市販固形飼料 (F-2) 食, 大豆油食, 魚油食ラットともにLD-RBCとHD-RBCの過酸化リン脂質量に大きな差はなかった。しかし, 魚油食ラットの赤血球の過酸化リン脂質含量は大豆油食ラットより有意に高い値を示した。すなわち, 今回の実験から, ラットの赤血球において過酸化リン脂質の分布量はその密度 (老化度) に大きくは依存せず, むしろ食餌油脂の影響が大きく, とくに魚油の摂取は有意に赤血球の過酸化脂質を増やすことが明らかにされた。