DHAを強化したユーグレナ (DHA-ユーグレナ) をタンパク源とした飼料をSHRSPに5週齢から自然死あるいは20週齢まで与え, 血圧, 脳卒中の発症および寿命に及ぼす影響を調べた。 1) 血圧の上昇抑制はDHA-ユーグレナ飼料の投与初期からみられ10週齢時には対照群より20mmHg低く, それ以後もその差を保ちながら210~220mmHgの血圧を維持した。 2) DHA-ユーグレナ群の生存日数は対照群に比べて著しい延長を示し, 脳卒中の発症率も低下した。 3) DHA-ユーグレナを脱脂して調製した飼料では, 血圧の上昇抑制作用はDHA-ユーグレナに比べて弱かった。生存日数の延長, 脳卒中の発症抑制も認められたが, 脱脂処理によりその効果は低下した。 4) DHA-ユーグレナ飼料を投与したSHRSPでは大動脈の肥厚が抑制され, エラスチン量も高値を維持した。 5) DHA-ユーグレナ群の大動脈および腸間膜動脈のアンギオテンシンI-変換酵素 (ACE) 活性は対照群より有意に低値であった。 6) 血中の過酸化脂質 (TBARSレベル) とその関連酵素の活性は対照群とDHA-ユーグレナ群間で差は認められなかった。 以上のように, SHRSPの血圧上昇抑制作用, 脳血管病変の発症抑制および延命作用は, 通常培養のユーグレナに比べてDHAを強化したユーグレナで, より有効であった。この理由として, 強化したDHAの降圧作用が効果的に作用したと考えられる。