ユーグレナのペプシン加水分解物から分画したACE阻害画分をSHR, SHRSPに投与し, 血圧と血清および血管組織ACE活性に及ぼす影響を in vivo で調べ, ACE阻害剤のカプトプリルと比較した。その結果を以下に示した。 1) ペプシン加水分解物をゲル濾過で分画し, ACE阻害を示す画分を得た。その画分の分子量は, 約2,000でACE (25mU/ml) に対するIC50値は15μg protein/mlであった。 2) SHRにD画分を8日間経口投与 (8mg/rat/day) すると, 30mmHgの血圧下降が認められた。SHRSPでは, 20mmHgの下降であった。カプトプリルの投与では, SHRが49mmHg, SHRSPでは32mmHgの血圧下降であった。 3) D画分を投与したSHRおよびSHRSPの血清ACE活性は, 対照群 (0.9% NaCl) と変わらなかったが, カプトプリル群ではSHR, SHRSPとも対照群より高値を示した。 4) 胸部大動脈ACE活性は, SHRおよびSHRSPとも対照群に比べD画分では有意に低値 (p<0.05) であり, カプトプリル群と同程度であった。しかし, 腸間膜動脈ACE活性では有意な差はなかった。 5) D画分のACE阻害活性は, 小腸内消化酵素のトリプシン, キモトリプシンで処理しても残存した。 6) 腸間膜動脈標本によるAng I (1μg/ml) の収縮はD画分 (500μg protein/ml) で抑制された。